小学三年生の時に無理矢理入らされた書写教室に通い続けて、今年で十年目を迎えました。
春からは大学生になり、文学部で日本語学を学びます。
書写教室を通して、私は本当に学びたいことを見つけました。
一時期
「美文字」という言葉がはやりましたね。今もテレビ講座で文字の書き方について学ぶことができます。テキストなども書店で見かけます。
しかし、私は直に書いた文字を添削してもらわないと続かないし、本当の意味で学べないと思っています。
書写教室に入りたての頃、私は字を書くことが嫌いでした。女子にしては汚い字であることは自覚していましたが、自分の書いた文字についてあれこれ指導されることが煩わしかったんです。
最初の三年間は鉛筆で文字を書く練習をしましたが、毎週教室に行く時間になると憂鬱な気持ちがしました。
しかし中学生にあがった頃から、習字への気持ちが変わってきました。行書を習いはじめたあたりから、急に文字を書くことの面白さが分かってきたのです。
習字の先生はとても優しい方で、丁寧に添削をしてくださいます。添削の合間に雑談もあり、楽しい雰囲気で学ぶことができる環境が保たれています。
これは教室に足を運ぶことでしか味わえない楽しみです。
また、私の文字の癖を指摘してくださることで、お手本との違いやどこを直せばいいのかが的確に判断できるようになります。
テキストや通信講座は手軽ですが、あなただけを見て指導しているわけではありません。
雑談の中で、先生が今まで体験した話や習字の先生になるまでの道のりを聞き、私は言葉をもっと深く学びたいと思うようになりました。
文字の美しさは日本語の美しさです。
先生と対面して習字を、ひいては日本語というものを学んだからこそ生まれた感情です。
丁寧な指導をしてくださったという意味でも、将来の進路を示してくださったという意味でも、私は先生に感謝しています。
これからもっとたくさんの方に、直接指導するというやり方で日本語を学んでほしいと思います。
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