小さな世界でバイトする私と、そこに訪れる小さな命

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スーパーというのは人間の見本市のような場所で、様々な人がいます。

毎回同じ商品の場所を聞く人や、挙動不審な態度の人、小さな子供といっしょになって走り回る大人もいたりします。

スーパーは世界の縮図、とまで言ってしまうと言い過ぎの感が否めませんが、しかし形成された小さなその世界に、小さな幸せが宿ったことに、私はくすぐったい喜びを感じました。

週に2度、そのスーパーでバイトしていた私は、週に1度はその女性を見かけました。

傍目には分からないが、でも確かに膨らんでいくお腹、そしてその中に宿る生命。

仲睦まじいその1組の夫婦の間に、小さくて可愛い赤ちゃんが笑顔を見せている情景を思い浮かべて、私はしばし幸せな感情に浸っていました。

それからまたしばらく経って、その女性がスーパーに姿を現すことはなくなり、代わりに旦那さんと思しき人が1人で買い物に来るようになりました。

いよいよか、と全くの部外者である私が思うのもおこがましいのだろうが、それでも期待せずにはいられませんでした。

そしてとうとう、その日が訪れました。

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すっかりお腹をちぢませた女性と、その傍らに寄り添う優しそうな男性。

そして女性の胸の辺りには、だっこ紐に包まれた可愛らしい、小さな命。

男の子か、女の子か、判別はできない。

ただ、世界に祝福されたことを嬉しがるような笑い声が、店内に響いていた。

おめでとう、と私は小さく呟きました。

今、あの家族はどうしているだろう。

名も知らない家族。

おそらくもう会うことはないのかもしれません。

それでも、私は縁とも言えぬ縁で出会ったあの家族が、幸せに暮らしていることを切に願いたいと思います。

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