私の若い頃の職場には2人の先輩がいました。
1人は仕事の能率は悪いものの良く働き、後輩の面倒をしっかりと見て誰にでも優しい先輩です。
そしてもう1人は仕事の能力はあるのに面倒な仕事は周りに任せて、好きな後輩にはとてつもなく優しく、嫌いな後輩は苛め抜くそんな先輩でした。
私はどちらとも仲良くしていました。
表面上はどちらとも仲が良かったですが、内心では確実に前者の先輩が好きでした。
でも前者の先輩は毎日本当に大変そうで、苦労していると思いました。
もし自分がなるなら楽して自分の好き勝手に過ごせる後者の先輩の方が羨ましいなと思っていたのです。
2人の先輩方に生まれた違い
しかしそれから数十年経ち、私達はいい年になりました。
二人の先輩はどちらも結婚して家庭を持っていました。
どちらも同じような幸せを手にしていたと思います。
しかしその二人が亡くなった時のお葬式では明らかな違いがありました。
優しい先輩には参列者が本当にたくさん来ていたのです。
そしてみんなワンワン泣いて、先輩の死を悼んで悲しんでいました。
しかし後者の先輩のお葬式には本当に少ない参列者しかおらずに本当に寂しいものでした。
泣く人が家族しかいなかったのにもなんだか切なさを感じました。
やっぱり生き方によって最後はこんなに違うんだなと言うことが分かりました。
人は人をちゃんと見ているのです。
自分も死に目を悲しがってくれる人がたくさんいるような人生を送りたいと思いました。
人とつきあうのに秘訣があるとすれば、
それはまずこちらが相手を
好きになってしまうことではないでしょうか。
- 瀬戸内寂聴 -
(日本の女性小説家、天台宗の尼僧 / 1922~)Wikipedia
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